帯状疱疹痛と帯状疱疹後神経痛の違いについて

 

 今回は、「帯状疱疹(ほうしん)痛」と「帯状疱疹後神経痛」の違いを説明します。

 

 

 

 コチラで説明しましたが、帯状疱疹では知覚神経に神経炎と皮膚炎を生じます。その炎症部位で造られたさまざまな化学物質(発痛物質)によって知覚神経が刺激されて生じた痛みが、帯状疱疹痛です(図1のA)。

 
 一方、帯状疱疹の発症から3カ月あるいは6カ月を超えて痛みが続く場合が、帯状疱疹後神経痛です。当然この神経痛には皮膚炎は関与しませんが、帯状疱疹痛を起こした神経炎だけでは説明のつかない症状が出現します。うずくような痛みが持続して、発作的な強い痛みも加わり、患部の知覚が低下しているにもかかわらず、着衣などが触れただけでも痛みを感じる異痛症(いつうしょう)を生じます。

 
 ところで、高齢・免疫機能の低下・発症直後からの強い痛み・皮膚症状が重度で広範囲である場合などは、帯状疱疹の危険因子として知られます。危険因子を伴うと、神経に“傷”を残して帯状疱疹後神経痛に移行しやすいからです。

 
 つまり、神経にできた傷で発痛物質が造られて痛みが続き、神経の伝導障害を招いて患部の知覚低下を合併します。こうなると、皮膚の症状が治まった後も、傷からの刺激が中枢へ伝わる結果、刺激を受け取る中枢も異常興奮に陥るため、麻痺(まひ)した患部に強い痛みを感じたり、触っただけの刺激で痛みを生じます(図1のB)。

 
 このように神経の傷と中枢の異常興奮が帯状疱疹後神経痛の原因と考えて間違いないようです。しかし、発症から数カ月経過しても当初の神経炎が持続しているケースも認められるため、発症からの時間的な経過や危険因子の関与の程度によって、長引く神経炎・神経の傷・中枢の興奮の三者がさまざまな程度に関与して帯状疱疹後神経痛が起こると考えられます。

 
 ところで、傷にとどまらず神経が完全に切れた状態で起こる帯状疱疹後神経痛は求心路遮断痛(きゅうしんろしゃだんつう)とも呼ばれますが、患部が麻痺しているにもかかわらず強い痛みを生じて治療は非常に困難となります。

 
 これまでの説明で帯状疱疹は一見して皮膚の病気のようですが、神経の病気として対応したほうが無難であることがお分かりいただけると思います。一般的な治療法では、帯状疱疹の20%〜25%が帯状疱疹後神経痛に移行することから、専門での治療をお勧めします。